厚生労働省が実施した2016年の国民健康・栄養調査によれば、糖尿病が強く疑われる成人は、推定で1000万人になるということが発表されました。10人に一人が糖尿病又は糖尿病予備軍となります。
今は異常が見られないとしても、生活習慣病によって糖尿病のリスクが高まります。そして、生活習慣病リスクが高まる背景として「筋肉の減少」が考えられます。
今の食生活や生活環境の在り方が未来のあなたの身体を作ります。「筋肉を維持する」ことで生活習慣病と糖尿病を予防することを一緒に考えていきましょう。
糖尿病合併症は「し・め・じ」もあれば「え・の・き」もある
健康診断で糖尿病の数値が少し高かったけれども、そのまま放って置いた1年後、すごい数値になっていたという人がたくさんいらっしゃいます。身体に関しては、最初“体感するほど”の変化はみられないことが多いですが、糖尿病になっても放って置くと合併症が起こります。
それは「しめじとえのき」と覚えておくと分かりやすいです。
糖尿病のリスクが少しでもあるようでしたら、その時からある程度の管理をしていくと、合併症は回避できるようになります。
糖尿病とサルコペニア
筋肉量の減少は、血糖コントロールの悪化と深い関係があります。
摂取した糖は肝臓と筋肉に取り込まれます。肝臓の大きさを大きくすることが出来ませんが、筋肉は増えたり減ったりします。筋肉量が減少すると、糖を貯蔵すできる容量が減ってしまうのです。筋肉が減ってくると血糖値を下げるホルモンのインスリンが分泌されても血糖値が下がりにくい、つまりインスリン抵抗性が高まることになります。
サルコペニアについては以前こちらのコラムで書かせていただいていますので、詳しくはこちらをご覧ください。
糖尿病患者でもたんぱく質合成には糖質が必要
必要エネルギー量に関しては、エネルギー制限した方が良いと思う方もいるかもしれませんが、その人にあった適正なエネルギー摂取が必要です。症状や個人差もあるので、一概に制限した方がいいとは言えません。
また、不要な制限は逆に筋肉合成が出来ず、サルコペニアを助長し、血糖コントロールも難しくなります。そして、筋肉合成に必要なのはたんぱく質であり、たんぱく質は糖質と一緒に摂ることが重要です。糖質を摂ることによって、インスリンがたんぱく質合成を促進する働きがあります。
必要なエネルギーが不足していると、摂取したたんぱく質がエネルギーとして使われてしまい、筋肉量の減少につながります。たんぱく質摂取量やバランスについては上記のサルコペニアの記事をお読みください。
そして適度な運動は心肺機能の改善、血糖コントロールの改善、脂質代謝の改善、インスリン感受性の増加が見込まれ、食事と併用するとより効果は期待できます。生活習慣病や糖尿病の予防のために厳しい糖質制限をする必要はありません。
我流の健康法で頑張る前に、正しい見識を持った医師や管理栄養士にご相談くださいませ。
- ヘルスケアレストラン,筋肉を落とさない糖尿病患者の栄養指導,2019.7
- 宗田哲夫,最強の油・MCTオイルで病気知らずの体になる,河出書房新社,2018.2.28,
- 若林秀隆,リハビリテーション栄養,医歯薬出版,2015.11.10
